高本眞一『患者さんに伝えたい医師の本心』

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yanoz

高本眞一『患者さんに伝えたい医師の本心』

妻を亡くした経験から語り起こされる、患者とともに病気を克服すべく努力するという医師のスタンスを語る本。

東大医学部卒で、アメリカ留学を経て、心臓血管外科の最先端で新しい治療法を開拓していた著者が、上司への進言をきっかけに左遷されたが、それが瓢箪から駒で、左遷先で患者ととことん向き合う大切さを学ぶことができた、というエピソードも印象深い。

のちに東大医学部の教授として、学生本意、患者本意の教育体制を目指したカリキュラム改革を手掛けた話や、三井記念病院の院長となって救急医療の体制を改善したり、地域の開業医との連携体制を確立するために先頭に立って取り組んだ話など、理想をしっかり立てた上で、現場に立ってリーダーシップを発揮した成果が具体的に語られていて、面白く、感銘を受けた。

困難な状況において、政治力を発揮しつつ、関わる人たちをより良い状況に導いていける人の仕事ぶりって、こんな風なものか、と思う。

そういう姿勢が、警視庁のミッション策定に、公安委員として携わった場合や、エホバの証人の信者に対して、輸血を受け入れるように説得し続けている、という場面にも貫かれている。

新書としては、このタイトルが売れるのかもしれないけど、内容としては、タイトルが与える印象よりも、もっと筋の通ったもので、社会体制の中枢で有意義な改革を成し遂げられる人のモチベーションがどのようなものかを縦横に語っていて、立脚点は確かに一人の医師としての行動なんだろうけど、一人の医師という立場以上の働きぶりが、むしろこの本の主眼のように思えた。

という意味では、良い上司、良いリーダーであるとはどういうことか、というテーマの本でもあるよな、と思う。

名指ししないけど、分かる人には分かる、辛辣な批判もなされていて、結構骨のある本でもある。

本をまとめるまでに、編集者との真剣なやりとりが語られるあとがきは、これだけでも読み応え十分なもの。
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