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土横手雅敬『日本史の快楽』

著者(うわよこて まさたか)は、京大出身の、中世史家。90年代半ばに週刊誌に連載されたコラムをまとめたもの。

中世史関連の某新書に、参考図書として挙げられていて、少し気になったので読んでみた。

タイトルは、編集者が連載にあたって付けたものとか。あんまり内容とは関係ない。

中世史にちなむ人物やエピソードを綴る前半と、明治以降の中世史をめぐる教育事情などを論じる後半に分かれる。

歴史家の立場から、人生観や宗教観に触れるエッセイとして、好感を持って読んだ。

慶滋保胤が鴨長明に影響を与えた所以を語る文書など、簡潔にして鮮明であり、散文としてとても素晴らしいものだと思った。

崇徳と後鳥羽、二人の上皇が残した念願の相違を語る文章も、日本の仏教的な世界観の厚みの中に、見事に対照されていて、ドラマチックだ。

太平記の親王の読み方について、戦前の教育が戦後の研究によって訂正され、それを踏まえて大河ドラマが作られたところ、戦前世代から抗議が殺到したというエピソードから、戦前の歴史学と歴史教育の系譜をときほぐす話題なども、それだけで新書一冊になりそうな情報を端的にまとめている。

後白河法皇の大仏開眼のエピソードなども印象深い。

図書館で、講談社の単行本で読んだが、2002年に角川ソフィア文庫で再刊されたというのも納得の好著。











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